本節では、各インストーラコンポーネントの詳細について述べていきます。コンポーネントは、ユーザに認識できる段階へグループ化されました。それらは、install 中に現われる命令の形で示されます。すべてのモジュールを、インストール時に使用するとは限らない、ということに注意してください。どのモジュールを実際に使用するかは、使用するインストール法やハードウェアに左右されます。
Debian インストーラが起動して、最初の画面が表示されているとしましょう。このとき、debian-installer の機能はまだ制限されています。ハードウェア、希望する言語、実行するタスクなどに関しても、まだ知りません。しかし心配しないでください。debian-installer は非常に賢いので、ハードウェアの自動検出をしたり、コンポーネントの残りを見つけたり、高性能なインストールシステムに自分自身をアップグレードすることができます。しかし、(希望する言語、キーボードレイアウト、使用するネットワークミラーの選択のように) いくつかのタスクでは自動で決められませんので、debian-installer を助けてあげる必要があります。
この段階で debian-installer がハードウェア検出を数回行うことに気がつくことでしょう。最初の検出では、インストーラのコンポーネントをロードするのに欠かせないハードウェア (例: CD-ROM ドライブやネットワークカード) を認識することが目標です。初回の実行ですべてのドライバが使用可能になるわけではないので、ハードウェア検出をこのプロセスの後で繰り返す必要があります。
ハードウェア検出の間、debian-installer はシステムにあるハードウェアデバイスのドライバが、ファームウェアを読み込む必要があるかをチェックします。ファームウェアが必要なのに利用できない場合は、リムーバブルメディアから見つからないファームウェアを読み込むダイアログを表示します。詳細は 「見つからないファームウェアの読み込み」 をご覧ください。
debian-installer がまず行うことの一つが、利用可能なメモリをチェックすることです。利用可能なメモリに制限がある場合、このコンポーネントは、システムに Debian GNU/Linux をインストールできるように、インストールプロセスにいくらかの変更を加えます。
インストーラで消費メモリを抑えるには、翻訳を無効にすることです。これは、英語でしかインストールできないと言うことでもあります。もちろん、インストール完了後に、インストールしたシステムを地域化することができます。
これで充分でなければ、インストーラは、基本的なインストールを完了するのに必須なコンポーネントのみを読み込み、メモリ消費をさらに抑えようとします。これはインストールシステムの機能を制限します。手動で機能を追加する手段を提供していますが、それによりさらにメモリを消費し、結果インストールに失敗する可能性を考慮する必要があります。
インストーラが低メモリモードで動作する場合、比較的大きな swap パーティション (64–128MB) を作成するのをお勧めします。swap パーティションは仮想メモリとして使用され、システムで利用できるメモリの量を増やします。インストーラは、インストールプロセスで可能な限り早く swap を有効にします。swap を使用すると、ディスク負荷が増加し、システムのパフォーマンスが低下する事に注意してください。
こういった措置にもかかわらず、まだシステムがフリーズしたり、予期しないエラーが発生したり、システムがメモリ範囲外で動作 (VT4 と syslog に 「Out of memory」 メッセージを出力) して、プロセスがカーネルに強制終了される可能性があります。
例えば、swap スペースが不充分な場合、低メモリモードで大きな ext3 ファイルシステムを作成すると、エラーを報告します。swap をもっと大きくしてもだめな場合、ext2 (インストーラの必須コンポーネント) で作成してください。ext2 パーティションをインストール後に ext3 に変更できます。
インストーラに 「Debian Installer パラメータ」 で説明している 「lowmem」 ブートパラメータを使用すると、利用可能なメモリを元にした lowmem レベルよりも高いレベルにできます。
ほとんどの場合、最初の質問はインストール中とインストールしたシステム双方の、地域オプションの選択に関することです。地域オプションは、言語、場所、ロケールからなっています。
異なるダイアログの翻訳が利用できるなら、選んだ言語をインストールプロセスの残りで使用できます。選択した言語で、有効な翻訳が利用できなければ、インストーラは自動的に英語になります。
選択した地理的位置 (ほとんどの場合で国) は、インストールプロセスの後半で、デフォルトのタイムゾーンの抽出と、その国に適切な Debian ミラーサイトの抽出に使用します。言語と国は、ともにシステムのデフォルトロケールの決定や、正しいキーボードレイアウトの選択を支援します。
最初に好みの言語を選択することになります。言語名は英語 (左側) と原語 (右側) の両方で表示しています。右側の名称は、その言語そのもので書かれた表記です。このリストは英語名順に並んでいます。このリストの先頭には言語の代わりに 「C」 ロケールを選択する追加オプションもあります。「C」 ロケールを選択するとインストールプロセスは英語で行われます。また、インストールしたシステムには locales パッケージがインストールされず、いずれの地域もサポートしません。
次は地理的な場所を選択するよう求められます。言語選択時に、その言語が複数の国で公用語とされている場合[5]、その国だけのリストを表示します。そのリストにない国を選択する場合、 (最後の選択肢) を選択してください。すると、大陸のリストを表示します。大陸を選択すると、関連する国のリストを表示します。
言語に対して国がひとつしかない場合、国のリストには、その国が属する大陸か地域を表示し、その国をデフォルトで選択状態とします。別の大陸にある国を選択したければ、 を選択してください。
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注記 |
|---|---|
インストールしたシステムのタイムゾーンを設定するため、あなたが住む、ないし設置する国を選択することが重要です。 |
ロケールが定義されていない言語と国の組み合わせを選択して、その言語に複数のロケールが存在する場合、インストールしたシステムのデフォルトロケールを、その中から選ぶことになります[6]。そうでなければ、デフォルトロケールは選択した言語と国をもとに選択されます。
前の段落で説明したように選択されたデフォルトロケールは、文字コードに UTF-8 を使用します。
優先度低でインストールしている場合、追加ロケール (いわゆる「レガシー」ロケール[7]を含む) を選択して、インストールしたシステム用に生成できます。この場合、選択したロケールの中からどれをデフォルトロケールにするか尋ねられます。
キーボードは、しばしば言語で使用する文字に合わされています。使用しているキーボードに一致するレイアウトを選択するか、希望のキーボードレイアウトが表示されなければ、近いものを選択してください。いったんシステムのインストールが完了すれば、もっと広い範囲からキーボードレイアウトを選ぶことができます (インストールが完了した後に、root で dpkg-reconfigure keyboard-configuration を 実行してください)。
希望のキーボードにハイライトを移動させて、Enter を押してください。ハイライトの移動には矢印キーを使用してください。どの言語のキーボードでも同じ場所にあるため、キーボードの設定に依存しません。
hd-media でインストールを行う場合、インストールするファイルの残りを得るために、Debian Installer iso イメージを見つけてマウントする必要があるでしょう。iso-scan コンポーネントはその名の通り行います。
初めに iso-scan は、既知のファイルシステムがあるブロックデバイス (例えばパーティション) を自動的にすべてマウントし、.iso (もっと言えば .ISO) で終わるファイル名を順番に検索します。初回の試行でルートディレクトリ中、およびそのサブディレクトリ内しか検索しないことに注意してください (つまり / や whatever.iso/data/ を検出しますが、whatever.iso/data/tmp/ は検出しないということです)。iso イメージの検出後、iso-scan は、そのイメージが有効な Debian iso イメージであるか否かを決定するため、その内容をチェックします。前者の場合は完了しますが、後者の場合 iso-scan は別のイメージを探します。 whatever.iso
インストーラ iso イメージを探す試行が失敗する場合、iso-scan はより徹底的に検索するか確認します。このパスは最上位のディレクトリのみ調査しませんが、実際にファイルシステム全体を全探索します。
iso-scan がインストーラ iso イメージを検出しない場合、元の OS を起動し直して、イメージが (.iso で終わる) 正しい名前になっているか、debian-installer が認識できるファイルシステムに配置しているか、(チェックサムを検証して) 壊れていないかチェックしてください。Unix の経験があるユーザは、再起動せずに第 2 コンソール上でチェックできます。
このステップに入って、ネットワークデバイスが 1 つ以上あることをシステムが検出すると、どのデバイスを 主要 (つまりインストールに使用する) ネットワークインターフェースとするか質問されます。その他のインターフェースはここでは設定しません。インストールが完了したところで、さらにインターフェースを設定できるでしょう。interfaces(5) man ページを参照してください。
デフォルトでは、debian-installer はコンピュータのネットワークを、可能な限り自動的に設定しようとします。自動設定に失敗した場合、ネットワークケーブルが繋がっていないことから、自動設定用のインフラが見つからないことまで、幅広い原因が考えられます。エラー発生時に何が起きたかを確認するには、4 番目のコンソールに表示するエラーメッセージをチェックしてください。いずれの場合も、再実行するか、手動設定を実行するか、を質問されます。自動設定に使用するネットワークサービスは、時にそのレスポンスが遅いことがあります。そのため、適切な場所にあるかどうか確認してから、自動設定を再実行してください。繰り返し自動設定に失敗する場合、手動でネットワークの設定を行なってください。
ネットワークの手動設定では、ネットワークについて、いくつか質問をしてきます。特に、IP アドレス、ネットマスク、ゲートウェイ、ネームサーバのアドレス、ホスト名 について質問します。さらに、無線ネットワークインターフェースがあるなら、無線 ESSID (「無線ネットワーク名」) と WEP キー や、WPA/WPA2 パスフレーズ を質問します。「必要な情報」 より回答を入力してください。
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注記 |
|---|---|
わかりやすいかどうかはともかく、技術的詳細は以下のようになります。このプログラムは、システムの IP アドレスとネットマスクのビット積を、ネットワーク IP アドレスとします。デフォルトのブロードキャストアドレスは、システムの IP アドレスと、ネットマスクのビット否定とのビット和から計算します。同様にゲートウェイも推測します。どのような値を設定するのかよくわからなければ、デフォルト値を使用してください。一度システムをインストールした後で、必要に応じて |
Debian GNU/Linux 7.0 (「Wheezy」) 以降から、debian-installer は IPv6 を 「クラシックな」 IPv4 と同様にサポートしています。IPv4 と IPv6 のすべての組み合わせ (IPv4 のみ、IPv6 のみ、デュアルスタック構成) をサポートします。
IPv4 の自動設定は、DHCP (ダイナミックホストコンフィギュレーションプロトコル) を用いて行います。IPV6 の自動設定は、NDP (リカーシブDNSサーバ (RDNSS) の任務に含まれる近隣者発見プロトコル) を用いたステートレス自動設定と、DHCPv6 を用いたステートフル自動設定、ステートレス・ステートフル混合 (アドレスの設定を NDPで、追加パラメータを DHCPv6 で行う) 自動設定をサポートします。
インストーラはまず、正しいシステム時計を設定するため、インターネットのタイムサーバに (NTP プロトコルを利用して) 接続しようとします。これが成功しない場合、インストールシステムが起動したときのシステム時計を正しいと見なします。インストールプロセス中に、手動でシステム時計を設定することはできません。
インストール処理のはじめの方で選択した所在地をもとに、その場所に関連するタイムゾーンの一覧を表示します。あなたの所在地にタイムゾーンがひとつしかなく、デフォルトインストールを行っている場合、システムは一覧を表示せず、そのタイムゾーンであると仮定します。
エキスパートモードや優先度中でインストールしている場合、タイムゾーンに「協定世界時」 (UTC) を使用する、という選択肢が追加されます。
何らかの理由で、インストールしたシステムのタイムゾーンを、選択した場所とは異なるものにしたい場合は、2 つの選択肢があります。
シンプルな方法は、インストールが完了し、新しいシステムが起動した後で、異なるタイムゾーンを選択することです。以下のようなコマンドになります。
# dpkg-reconfigure tzdata
その他には、インストールシステムの起動時に、パラメータ time/zone= を渡すと、インストールの最初からタイムゾーンを設定できます。もちろん値は妥当なタイムゾーン (例えば valueEurope/London や UTC) であるべきです。
自動インストール用に、preseed を用いて、タイムゾーンをお好みの値に設定できます。
クロックの設定直前に、インストーラは 「root」 アカウントや、最初のユーザアカウントのセットアップを行います。その他のユーザアカウントは、インストール完了後に作成してください。
root アカウントは、ログインするとシステムのすべてのセキュリティ保護をバイパスしてしまうので、スーパーユーザとも呼ばれています。root アカウントはシステム管理のみに使用し、可能な限り短時間使用するのみにすべきです。
作成するパスワードは、少なくとも 6 文字以上で、大文字小文字、カンマやピリオドを混ぜるべきです。root パスワードを設定するときには、強力なアカウント故に特別注意を払ってください。辞書にある単語や推測される個人情報を使用するのは避けてください。
誰であっても、root パスワードが必要だと言う人がいる場合には、殊更に用心してください。他のシステム管理者と共に機械の管理をしているのでなければ、root パスワードを教える必要は、通常決してありません。
システムは、この時点で一般ユーザアカウントを作成するかどうか質問します。このアカウントを、個人でログインする場合のメインアカウントにするべきでしょう。root アカウントを日常的に使用したり、個人的な用途でログインするべきではありません。
なぜいけないのでしょう? root 権限を使用しないようにする理由のひとつは、root により簡単に取り返しのつかない損害を与えられるということです。他には、だまされてトロイの木馬 (あなたに隠れ、スーパーユーザ権限を利用してシステムに感染するプログラム) を動かしてしまうということもあり得ます。UNIX システム管理に関するいずれの良書でも、この件に関して詳細に扱っています。今までご存じなければ、ご一読ください。
まず初めに、ユーザのフルネームの入力を求められます。次にユーザアカウントの名前を求められます。一般的にファーストネームか、必要充分な名前に似た何かがデフォルトになります。最後にこのアカウントのパスワードを求められます。
インストール後いつでも、別のアカウントを作成する場合は、adduser コマンドを使用してください。
最後のハードウェア検出が完了した時点で、debian-installer はユーザのニーズ通りにカスタマイズされ、実際の作業ができるような、準備万端の状態にあります。本節のタイトルが表すように、以下、少数のコンポーネントの主なタスクは、ディスクのパーティションを分割し、ファイルシステムを作成し、マウントポイントを割り当てて、LVM や RAID、暗号化デバイスのような密接に関係する件のオプション設定を行うことです。
パーティション分割に不安があったり、詳細を知りたければ、付録C Debian でのパーティション分割 をご覧ください。
最初に、ドライブのすべてか、またはドライブの有効な空き領域を、自動的にパーティション分割するか選択する機会が与えられます。これを「ガイド」パーティション分割とも呼びます。自動分割を望まなければ、 を選んでください。
debian-installer で使用するパーティション分割ツールは、かなり万能です。これにより、さまざまなパーティションテーブル、ファイルシステム、高度ブロックデバイスを用いて、たくさんの異なるパーティション構成を作成できます。
厳密に、どのオプションが利用できるかは、主にアーキテクチャに依存しますが、その他の要因もあります。例えば、内部メモリが制限されたシステムでは、いくつかのオプションは使用できないでしょう。さらにデフォルトも変わるかもしれません。例えば、大容量ハードディスクに対する、デフォルトのパーティションテーブルのタイプは、より小さいハードディスクのものと異なっている場合があります。debconf 優先度が中ないし低でインストールしているときのみ、いくつかのオプションを変更できます。もっと高い優先度の場合は、実用的な値がデフォルトで使用されます。
インストーラは、さまざまな形の高度なパーティションやストレージデバイスを (ほとんどの場合組み合わせて)、サポートします。
論理ボリュームマネージメント
ソフトウェア RAID
サポートしている RAID レベルは 0, 1, 4, 5, 6, 10 です。
暗号化
マルチパス (実験的)
情報は 私たちの Wiki をご覧ください。現在のところ、マルチパスはインストーラ起動時に有効にした場合にのみ利用できます。
以下のファイルシステムをサポートしています。
ext2、ext3、 ext4
ほとんどの場合、デフォルトのファイルシステムに ext4 が選択されています。ガイドパーティション分割を使用する際、/boot パーティションのデフォルトには ext2 が選択されます。
jfs (全アーキテクチャで使用できるわけではありません)
xfs (全アーキテクチャで使用できるわけではありません)
reiserfs (オプション。全アーキテクチャで使用できるわけではありません)
Reiser ファイルシステムは、もはやデフォルトではサポートされません。インストーラが、中ないし低 debconf 優先度で動作させると、partman-reiserfs コンポーネントを選択して有効にできます。バージョン 3 のみサポートします。
FAT16, FAT32
ガイドパーティション分割を選択した場合、選択肢が 3 つあります。ハードディスクに直接パーティションを作成する (クラシック) 方法、論理ボリューム管理 (LVM) を利用する方法、暗号化 LVM[8] を利用する方法です。
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注記 |
|---|---|
(暗号化 LVM を含む) LVM を使用する方法は、すべてのアーキテクチャで使用できるわけではありません。 |
LVM や 暗号化 LVM を使用する場合、インストーラが作成するほとんどのパーティションを、大きなパーティションの中に作成します。この利点は、大きなパーティションの中にあるパーティションを、後から簡単に大きさを変更できることです。暗号化 LVM の場合、特殊なキーフレーズを知らずに大きなパーティションを読むことができません。そのため、あなたの (個人) データにさらなるセキュリティを提供します。
暗号化 LVM を利用する場合、インストーラは、自動的にランダムなデータを書き込んでディスクを消去します。この機能は、(ディスクの使用中の領域を分からなくし、以前インストールしていたものの痕跡を消去して) セキュリティを向上しますが、ディスクのサイズにより、時間がかかることがあります。
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注記 |
|---|---|
LVM や 暗号化 LVM を使用してガイドパーティション分割を選択した場合、パーティションテーブルへの変更は、LVM のセットアップで選択したディスクに書き込まれる必要があります。この変更によって、選択したハードディスクの現在のデータはすべて消去され、後で元に戻すことができなくなります。しかし、ディスクに書き込む前に、インストーラは変更してよいか確認してきます。 |
ディスク全体に対してガイドパーティション分割を選択した場合 (クラシックでも (暗号化) LVMでも)、まずはじめに、選択したディスクを使用してよいか尋ねられます。複数ディスクがある場合、すべてのディスクが一覧され、正しいものが選択されていることを確認してください。表示順は、普段使っているものと違う可能性があります。ディスクサイズを確認の手がかりにしてください。
ここでついに、ディスクのすべてのデータが失われますが、ディスクに書き込む前に変更してよいか、必ず確認してきます。パーティション分割にクラシック法を選択した場合は、終了する前に元に戻せますが、(暗号化) LVM を使用する場合は元に戻せません。
次に、以下の表から分割案を選択できます。どの案でも賛否両論あり、付録C Debian でのパーティション分割 で議論されています。よくわからなければ、最初の項目を選択してください。ガイドパーティション分割は、最低限動作する空き領域が必要なことを、心に留めておいてください。少なくとも 1GB の空き領域 (選択した方法に依存します) がなければ、ガイドパーティション分割は失敗してしまいます。
| パーティション分割方法 | 最低容量 | 作成するパーティション |
|---|---|---|
| All files in one partition | 600MB |
/, swap |
| Separate /home partition | 500MB |
/, /home, swap |
| Separate /home, /var and /tmp partitions | 1GB |
/, /home, /var, /tmp, swap |
(暗号化) LVM を利用するガイドパーティション分割を行うと決めた場合、インストーラは独立した /boot パーティションも作成します。スワップパーティションを含むその他のパーティションは、LVM パーティションの内部に作成します。
分割案を選択後、新しいパーティションテーブルが次の画面に表示されます。ここでは、パーティションがどのようにフォーマットされるか、どこにマウントされるかといった情報が含まれています。
パーティション一覧は以下のようになります。
SCSI1 (0,0,0) (sda) - 6.4 GB WDC AC36400L
#1 primary 16.4 MB B f ext2 /boot
#2 primary 551.0 MB swap swap
#3 primary 5.8 GB ntfs
pri/log 8.2 MB FREE SPACE
SCSI2 (1,0,0) (sdb) - 80.0 GB ST380021A
#1 primary 15.9 MB ext3
#2 primary 996.0 MB fat16
#3 primary 3.9 GB xfs /home
#5 logical 6.0 GB f ext4 /
#6 logical 1.0 GB f ext3 /var
#7 logical 498.8 MB ext3
この例では、2 つの ハードディスクを、いくつかのパーティションに分割しています。第 1 ディスクには空き領域がいくらかあります。パーティション行ごとに、パーティション番号、パーティションタイプ、サイズ、追加フラグ、ファイルシステム、マウントポイントを (あれば) 表示しています。注意: こういった詳細なセットアップはガイドパーティション分割では行えませんが、手動パーティション分割で使用できる変化を示します。
これでガイドパーティション分割を終えます。生成されたパーティションテーブルでよければ、(本節の最後に書かれているように) 新しいパーティションテーブルを反映するよう、 をメニューから選べます。そうでなければ、もう一度ガイドパーティション分割をしたり、以下に述べる手動パーティション分割で提案する変更を修正するのに を選択し、ガイドパーティション分割を再実行してください。または、以下に述べる手動パーティション分割で修正してください。
手動パーティション分割を選択すると、既存のパーティションテーブルがマウントポイントなしで表示されるのを除き、前述と同様の画面が表示されます。パーティションテーブルの手動セットアップの方法と、新しい Debian システムでのパーティションの使用法については、本節の残りで扱います。
パーティションも空き領域もない、素のハードディスクを選択すると、新しいパーティションテーブルを作成するか確認されます (新しいパーティションを作成するのに必要)。すると選択したディスクのパーティションテーブルに、「FREE SPACE」 (空き領域) という新しい行が現れます。
空き領域を選択すると、新しいパーティションを作成できるようになります。サイズやタイプ (基本か論理か)、場所 (空き領域の先頭からか最後からか) といった、一連の簡単な質問に答えなければなりません。この後、新しいパーティションの詳細な概要が得られます。主な設定は、ファイルシステムがパーティションにある場合、スワップ、ソフトウェア RAID、LVM、暗号化ファイルシステムとして使うか、全く使わないかを決定する です。その他には、マウントポイントやマウントオプション、起動フラグといったパーティションの使用法に依存した設定があります。あらかじめ選択されたデフォルト値が気に入らなければ、自由にお好みのものへと変更してください。例えば、オプション を選択すると、スワップ、ソフトウェア RAID、LVM、またそれ以外のファイルシステムに、このパーティションを変更できます。新しいパーティションに満足したら、 を選択して、partman のメイン画面に戻ってください。
パーティションに対して変更を加えたい場合は、単にそのパーティションを選択して下さい。パーティションの設定メニューに入れます。新しいパーティションを作成する際に使用するのと同じ画面ですので、同様に設定を変更できます。一見わかりづらいのは、表示されているパーティションのサイズを選択して、サイズ変更ができることです。動作することがわかっているファイルシステムは、少なくとも fat16, fat32, ext2, ext3, swap です。このメニューではパーティションを削除することもできます。
少なくとも 2 つのパーティションを必ず作成してください。1 つは swap で、もう 1 つは (/ にマウントする) ルートファイルシステムです。ルートファイルシステムをマウントし忘れると、この問題を修正するまで partman は先に進みません。
partman の機能は、インストーラモジュールで拡張できますが、システムのアーキテクチャに依存します。あるはずの機能を確認できなければ、すべての必要なモジュールが読み込まれているか確認してください。(例: partman-ext3, partman-xfs, partman-lvm)
パーティション分割に満足したら、パーティション分割メニューから を選択してください。ディスクに行われる変更内容が表示され、その通りファイルシステムを作成するかどうか確認することになります。
コンピュータに複数ハードディスクドライブがある[9]なら、ドライブのパフォーマンスの向上やデータの信頼性向上のために mdcfg を使用できます。この結果を マルチディスクデバイス (ソフトウェア RAID の方が有名) と呼びます。
MD は基本的に別のディスクにあるパーティションを束ねて、論理 デバイスの形に結合したものです。このデバイスは通常のパーティション (例: partman でフォーマットでき、マウントポイントに割り当てられる等) と同様に使用できます。
どんな恩恵を受けるかは、作成する MD デバイスの種類に依存します。現在、以下をサポートしています。
RAID0 はパフォーマンスに主眼をおいています。RAID0 は全入力データを stripes へ分割し、均等にディスクアレイの各ディスクに分配します。これにより、読み取り・書き込みの処理速度を向上できますが、ディスクのうちの 1 つが破損したら、すべてを失ってしまいます。(情報の一部は正常なディスク上にありますが、他の部分は破損したディスク上にあるからです)
RAID0 の典型的な使用法は映像編集用のパーティションです。
信頼性第一である場合、RAID1 を構成するとよいでしょう。全パーティションが正確に同じデータを含むような、いくつかの (たいてい 2 つ) 等しいサイズのパーティションから成ります。これは本質的に 3 つのことを意味します。まずディスクの 1 つが破損した場合、残ったディスクにデータミラーが残ります。次に利用可能領域の断片だけの使用もできます。(もっと正確には、RAID で構成する最小のパーティションサイズとなります) 第 3 に、ディスクからのファイルの読み込みをロードバランスする事ができます。これにより、ファイルサーバのような、書き込みより読み込みの方が負荷が高くなる傾向のあるサーバのパフォーマンスを改善できます。
破損した場合に、任意に予備ディスクを破損したディスクの代わりに、ディスクアレイにつけることができます。
RAID5 は速度と信頼性、データの冗長性をうまく折衷しています。RAID5 はストライプへ入力するデータをすべて分割し、1 つ以外の全ディスクに (RAID0 のように) 等しく分配します。RAID0 と違い、RAID5 は (残りのディスクに書かれている) パリティ情報も計算します。パリティディスクは静的 (これを RAID4 と呼ぶ) ではありません。(定期的に変更され) パリティ情報を全ディスクに等しく分配します。あるディスクが故障した場合、情報の失った部分は残ったディスクとそのパリティから計算されます。RAID5 は少なくとも 3 つのアクティブなパーティションから成ります。故障した場合に、任意でディスクアレイ中の故障したディスクの箇所に予備のディスクをセットできます。
おわかりのように、RAID5 は RAID1 より冗長性が少なく、同程度の信頼性を持ちます。一方、パリティ情報を計算するため、RAID0 より書き込み操作が少し遅いかもしれません。
RAID6 はパリティデバイスが 1 つではなく 2 つであるという点を除き、RAID5 と似ています。
RAID6 アレイは、2 つのディスクが故障するまで存続できます。
RAID10 はストライピング (RAID0) とミラーリング (RAID1) を組み合わせたものです。格納データの n 個のコピーを作成し、パーティションをまたがって分配するため、同じデバイスに同じデータを格納することはありません。n のデフォルト値は 2 ですが、エキスパート